先般、長年にわたりご縁があったご門徒さまが相次いでご往生され、葬儀をおつとめいたしました。
ひと昔前、葬儀は寺院本堂やご自宅、町内会館で執り行うことが大半でしたが、時間の流れの中でそのあり方も様変わりしました。大津に於いても葬儀会館が各所に設けられるとともに、寺院での葬儀はわずかなものになりました。この度の葬儀も、いずれも式場は葬儀会館でした。
町内皆さまのご協力をいただきながら執り行ったかつての葬儀を懐かしく思い返しますが、現在の葬儀事情を考えると、利便性などが優先されるのもやむを得ないのかもしれません。僧侶としては、そのような環境のなかでも、いかにして意義ある葬儀を執り行うかが問われているように思います。
そのなか、葬儀後の中陰勤行(四十九日法要などの勤行)やご法事を本堂でおつとめされることは増えてきています。昨今の住宅事情などもその背景にあるかと思われますが、寺院へお参りされるというご縁が少なくなるなかで、ひとつのご縁として皆さまがお参りいただくことは大変ありがたいことです。
先日も、ご生前に法要などで年に何度もお参りをいただいたご門徒さまのご法事を本堂でおつとめいたしました。お孫さまやひ孫さまもお参りされ、「いつもこのあたりに座ってお参りされていました」と、在りし日の姿をお伝えしながらご一緒に読経いたしました。
慣れ親しまれたご自宅でのおつとめとともに、亡き方々が護持され支えられた本堂でのおつとめも大切にしていただきたいと思います。