お参りだより

仏事で用いる経本や聖典には、いくつかのお経や讃歌がおさめられているため、日頃おつとめする箇所には花びらをかたどった華葩(けは)等をはさみ込んでいます。

本日、昨年の年末にご往生されたご門徒のご法事をおつとめしました。ご自宅にお伺いして準備をしていると、側におられたお孫さまが手にされていた聖典からしおりが落ちてきました。

その聖典は昨年ご往生されたお祖母さまのもので、しおりは『御文章』のページにはさまれていました。おそらく、お祖母さまが毎日拝読するために、はさみ込んでおられたのでしょう。「その姿をよく覚えています」と、おつとめ前にご家族と思い出話が続きました。しおりを手にすると、長年にわたり丁寧におつとめされていた姿が自然と浮かんできました。

この日はお祖母さまの聖典をお孫さまが手にされて、ご家族とご一緒にご法事をおつとめしました。皆さま、丁寧におつとめくださいました。

これからは別宅に新たな仏壇・本尊をお迎えになり、おつとめいただくことになりました。「念仏相続」が難しい時代となりましたが、先立たれた方のお心とお姿を通して、お子さまお孫さまへとご縁がつながることは有り難くうれしいことです。

これも先立たれたお祖母さまのお導きでもあると、深く感謝するご縁でありました。