7月21日、滋賀教区の皆さまと比叡山延暦寺へ参拝いたしました。
滋賀教区では、毎年、県内各地の旧跡や寺院を巡る参拝旅行がおこなわれています。
本年は天台宗総本山であり、多くの高僧が修行された地でもある比叡山延暦寺を訪ね、かつてこの地で20年にわたって修行された宗祖・親鸞聖人ゆかりの堂塔を巡りました。
8回目となる今回、県内寺院から住職やご門徒などが参加され、大型バスにて各集合場所を経ながら一路比叡山へと向かいました。
1時間ほどバスに揺られ、午前10時頃に比叡山延暦寺・東塔に到着しました。
降車すると辺り一面濃い霧に覆われており、酷暑の街中に比べて随分と涼しく感じました。過ごしやすい気候の中、まず大乗院と明王堂を目指しました。
およそ30分ほど、山中を歩んでいきます。
険しい谷地を越えて「親鸞聖人御修行旧跡」と記された碑が建つ大乗院に到着しました。碑が示す通り、この地において若きころの聖人が修行されたと伝えられています。
堂内には聖人の御木像がご安置されています。
この地には、師のもとで修行中の聖人が京都・六角堂へと参詣されるために山を離れられたある夜、僧侶達に振る舞われた蕎麦を不在である聖人に成り代わり食したとされる「蕎麦喰い木像」のいわれが伝わります。
さまざまな形で今も残る聖人の足跡を振り返りながら、ご遺徳を偲びおつとめいたしました。
大乗院の近くには、千日回峰行での9日間にわたる断食断水不眠不臥の「堂入り」が行なわれる明王堂が建っています。
歩んできた山道を戻り、続いて根本中堂へと向かいました。
現在は大規模な改修工事が行なわれています。そのため、残念ながらその荘厳な姿を目にすることはできませんでしたが、堂内において延暦寺僧侶の方より由緒沿革などのお話しをいただくことができました。
丁重なお話しを通して、長年にわたる多くの人びとの篤い信仰のお心にふれることができました。
◇ ◇
延暦寺会館で昼食をいただいた後、バスに乗車して西塔へと向かいました。
降車後、しばらくすると「親鸞聖人ご修行の地」と記された碑が見えてきます。
現在碑が建つこの辺りには、かつて聖光院と称する寺院が建ち聖人はその門跡であったと伝えられています。
常行堂・法華堂(にない堂)を巡り、さらに西塔を歩んでいきます。
延暦寺に現存する最古のお堂であり、ご本尊として釈迦如来がご安置される転法輪堂(釈迦堂)へ参拝いたしました。
◇ ◇
ふたたびバスに乗車して、最後の地域となる横川(よかわ)へと向かいました。
緑に染まった山中を歩んでいくと、横川の中心となる横川中堂が見えてきました。
堂内には本尊として聖観音がご安置されています。
こちらの堂内においても、参加者一同でおつとめいたしました。
横川中堂から奥へと歩むと恵心堂(恵心院)が見えてきます。
この地では、聖人が師と仰がれた七高僧(印度・中国・日本の7人の浄土教高僧)のお一人である恵心僧都源信和尚が『往生要集』を著わされたと伝えられています。
恵心堂からさらに奥へと歩んでいくと源信和尚の墓所があります。
この日も延暦寺には多くの参詣者がおられましたが、ここまで来ると私たち以外に参詣される方の姿はありませんでした。
朝から山中を歩き続けてきたこともあり皆さまの顔にも疲れが見えましたが、最後の力を出して険しい階段を駆け上がりました。
和尚のご遺徳を偲び墓前において手をあわせました。
今回は限られた時間の中で東塔・西塔・横川の三地域を巡り、聖人の足跡を訪ねてまいりました。
この日の時間だけでは当時の聖人のお心に近づくことなどできませんが、かつてご覧になったと思われる景色を目にしながら、今日み教えに出遇えたことの有り難さを強く感じました。
その思いをより多くの皆さまとともにできるように、これからも努めてまいります。
◆浄土真宗本願寺派滋賀教区「おうみ法の友」